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今回の現代作家の軌跡訪問は、独自の表現で見るものを魅了し続ける彫刻家:掛井五郎さんをお迎えして、お話をうかがいました。立体作品にとどまらず、油彩・ドローイング・エッチングやリトグラフなど、多彩な表現方法で精力的な活動を続けていらっしゃる掛井さんのメッセージをお届けいたします。

プロフィール
1953年東京藝術大学彫刻科卒業。1957年〜新制作協会出品、2001年退会。1968年ベラクレス大学客員教授(〜1970)。美術館等で個展多数。受賞:中原悌二郎賞、東京国立近代美術館賞・神奈川県立近代美術賞ダブル賞、高村光太郎賞、長野市野外彫刻賞、神戸須磨離宮公園賞他。
2005.5/23よりART BOX GALLERYにて個展

掛井五郎さんからのメッセージ−「鎮魂歌」−
『先生達が、友人達が生きていた時は、私にも仕事が出来た。しかし、一人になって、一人では何も出来ないことを思い知った。
 少年の日、茶畑をベッドにして、両手を枕にし、空を見上げていた。−雲が動いた−川で一日中、鮎を追い廻した。山野にかけ入り、植物、昆蟲採集に熱中した。野生の茱萸、山苺、山桃の実をむさぼり、味と香りが口一杯に拡散し、脳を刺激した。夏の日、友人と誘い合い、海に出掛けた。帰り道、西瓜畑に進入して、一番見事な西瓜を飽食する。その後、時代は戦火に包まれた。そして、敗戦した。
 今日、この世界は、この日本は、「人間」を何処へやってしまったのか。人間であろうと、必死で生きている人々の悲愴な叫び声しか聞こえてこない。どこかで、「死者」達の細い声がする。』−2005年春ー美しい故郷と美しい母
私は静岡の茶畑が広がる美しい故郷で生まれ育った。そこには富士山や南アルプスがあって、大井川や天竜川が集まる駿河湾もある。山の幸と海の幸に恵まれた、芸術家が育つのに最上の場所だった。私の母は美しい人だった。母の料理も特別のもので美味しかった。家族には、5人の男の子と5人の女の子の兄妹がいて、ハイカラな家庭だった。兄たちは油絵を描き、西洋音楽に親しんだ。しかし戦争が始まり、4人の兄たちは戦死してしまった。芸術家は「個人」の表現である
1964年にブラジルのサンパウロビエンナーレに出品したときに、現地で、或る日本人彫刻家が羽織・袴を着て扇子を持ってオープニングパーティに出席していた。それは私にとって目にしたくない光景だった。「日本の芸術家」ってことを全面に出していることが嫌だった。本来、芸術家は国家・宗教・民族という枠組みから自立していないといけない。つまり「個人」として表現していないといけない。ピカソだって「スペイン人」の芸術家というわけではないんだ。国家とか民族からもっと自由になって表現しなければ、現代作家とはいえない。自分の存在を知るための創作活動
芸術家は「仕事」することによって芸術家であることを完結する。でも三島由紀夫も太宰治も中途半ばで自殺してしまった。過去の芸術家は未熟だったと思う。芸術家が成熟するには仕事によって生きること。私の場合、作品を創ることは自分の存在を知るための創作、そして自分がどれだけ無知で救いがたいものかを知るためだ。芸術家に必要なこと
芸術家は有名になってはいけない。勲章ももらってはいけない。でもお金は必要。それは次の作品を創るため。だけど、無名で勲章をもらわずにいつづけるのは大変なんだ。だからパトロンが作家を助けることは重要だ。天空にも昇る、浮遊した彫刻へ
新潟中越地震の際に、道路が崩れ落ちて車中に閉じこめられ、三日後に救出された小さな男の子「悠太君」を見たときには衝撃的だった。その子が瓦礫の中で浮いていたように見えた。私はこれまで大地に根ざした彫刻を作ってきたけれど、これこそ、空間に存在する「彫刻」それ自体である。だから空中に浮遊する彫刻を作っていきたい。鳥のような、そう、人間が鳥に進化している彫刻作品を。

独特の表現で知られる立体作品。自由で大胆な油彩・ドローイング・エッチングやリトグラフなどの平面作品。愛すべき異形のものたちの「いのち」に触れてみてください。立体作品一覧 平面作品一覧
男泣き \3,150,000
男が泣いている彫刻です。男は万歳しながら泣くのです。そして女は泣かないのです。

神話 \2,415,000
古典ギリシャ神話の中の男女の求愛の物語を表現。男は女を愛したいが、女はそれを拒んで神様にオリーブの木に姿を変えてもらいます。古典と現代の神話を重ねた美しい物語。

リトグラフ \367,500
掛井五郎さんご自身の人体のパーツをモチーフにしたリトグラフシリーズの中の一つ。他に自画像や目、耳などがあります。

現代日本の彫刻/年鑑
日本を代表する彫刻家109名の作品とプロフィール・コメントを紹介した「現代日本の彫刻」。多様な立体芸術を一望できる本書からも、掛井さんの作品をご覧頂けます

掛井五郎さんは、深く関心をもつ「人間」を制作対象とし、精力的に活動されています。しかし、掛井さんによると、現代の人たちはもはや人間ではないと感じるそうです。だとしたら、人間ではない私たちは一体何者であるのか、そしてこの先の未来についてを真剣に思考するべき時にきているのではないかと、考えさせられました。

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