アーティスト検索
Googleでサイト内検索


条件を指定して探す

オンラインショップ

新刊情報主な取扱書店
お薦め作品
ART BOX IN JAPAN

読み物&コミュニティ

インタビューブログ
アート情報広場リンク
メールマガジン購読
ART BOXについてサイトマップお問合せAccess広告主募集
.


現代作家へのインタビュー第4弾は、女性日本画家を代表し、日展を中心に多彩なモチーフの描写において高い評価を受ける三谷青子さんを迎え、自分自身の作品についてやこれからの作品制作への展望など他では決してきくことのできない貴重なお話を皆様にお届けいたします。

プロフィール
京都府生まれ。1948年日展初入選。1949年京都市美術専門学校卒業。1953年日展・白寿賞受賞。1987年女子美術大学教授就任/日展評議員。1988年日展・内閣総理大臣賞受賞。1993年女子美術大学教授退官/同退官記念展開催。現在日展評議員、女子美術大学客員教授。
2006.2/7より作品集出版を記念しART BOX GALLERYにて個展

私が若かった時代、みな学ぶことに飢えていた
昭和20年当時、私が京都の女学校を卒業する頃、日本女子大学国文科に推薦入学する予定だったのです。でも、日本ではまだ戦争が終わっていなくて東京は京都に比べてもっと危ないからと、京都にとどまることになりました。ちょうど京都絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)が女子学生をとることになったので入学を決めました。その頃は「日本画学科」と「図案学科」しかなくてね、私は日本画を専攻しました。図案学科は今でいう建築やプロダクトデザインを学べる所で、家業が西陣織や清水焼の子弟が来ていましたよ。今の人たちには想像もつかないと思いますが、私達は勉強することに飢えていました。女学校でも戦時中は勤労動員されていたので、勉強したくてもほとんどできない状況だったのです。その反動で、大学へ入ったらものすごい勢いで勉強をしましたよ。知的欲求が強くなっていたのかもしれません。
真面目だけどユーモアのある絵画
誰でも最初に習った先生からは、一番影響を受けるものですよ。それが私にとっては日本画の上村松篁先生と池田遙邨先生の両者でした。上村先生の特徴は絵に対して「大まじめ」であることです。私も学生の頃から今まで変わらず、公園、動物園や水族館に行っては、植物や動物の写生を沢山しておりました。池田先生の場合「マンガっぽい所を取り込むこと」です。マンガっぽいとは、例えばキツネがふいっと首を振り向けているところなど、いたずらっぽくも楽しい感じを絵の中に取り入れることがあります。
絵の本質は「色と形」に限る
私の人物画の場合、描いているとモデルに似て来るみたいですよ。母(日本画家:三谷十糸子)がかわいい女の人を描いていたので、自分はかわいい女の人を描きたくないのです。特に絵に対しては思想があるわけではありません。描きに描くことで必ずいい絵ができます。それに、絵の本質は「色と形」しかないと思いますよ。ブラックの絵を見ていてもそうですが、やはり色と形ではっとさせられますからね。そこに絵の心地よさがあります。
刻々と変化する自然からのアイデア
「子供の情景」という絵を描いたときのこと。その年の夏は雨が全く降らなくて、水不足で東京の水瓶が空になったというニュースを聞きました。それを確かめるべく、狭山湖と多摩湖を見に行きました。そしたら本当に湖の水が枯れてしまって、風変わりな光景が広がっていたので、それを一生懸命デッサンしましたよ。暫くして一度雨が大量に降ったことから今度は湖が水で満杯になりました。ですから、その空っぽになった湖の不思議な光景はその時しか描けないイメージだったのです。自然には架空の風景を超える、面白いイメージがいくつもあるのです。
対象物をよく観察することによって、新たな発見がある
大学を退官してから、モデルさんを手狭な自宅内で設置するのが難しくなってきたので、人物から身の回りのものを描くようになりました。それでも絵を描くことに困ると、井の頭公園に行きます。そこにいけば、何か描くものがあり、何かの出会いがあるのです。絵を描くことによって、対象を注意深く観察します。そしてそれは思いがけない新しい発見につながることが多くあります。例えば、馬の体の模様など、ズボンをはいているような模様だったり、ソックスを履いているような模様だったり・・・と空想もできない驚きがあったりします。とにかく、年がら年中、絵のことを考えていなければいけません。そうすると、ああ、こういうものを描いてみたいとアイデアが浮かんできます。今後は、街の中のモチーフに着目して、表現してみたい
今後は街の中の題材を描いてみたいです。実は最近2つの「駅」を描いたことがあります。その1つが「東京駅」ですが、駅建物の1階と2階の窓の形が丸かったり、四角かったりと微妙に違っていて面白かったですよ。きれいな駅より、古い駅の方が描きやすいので、探しています。そんな風に、これからは街にあるものを描いていきたいですね。また、新しい発見があるかもしれません。
三谷青子の陶芸作品〜趣味の陶芸も自分の絵と似ている〜
退官して間もなく、趣味で陶芸を初めて、最近は陶器のことばかり考えることもあります。陶器も絵と似たようなところがあり、形と色にこだわりを持って作っています。小さな陶芸のコンクールで賞をいただいたこともありました。染め付けという技法をほどこした陶器のお皿ですが、染め付けた絵柄が写生した鳥と魚でしたので、それがよかったようですね。陶器そのものの評価というより、その絵柄が新鮮に映ったのでしょうか…。

新作は人物画の他、三谷青子の身の回りで遭遇した美しい光景や事物を描写しています。作品一覧
鹿と朴の葉 \1,890,000
井の頭公園にいる鹿です。本当にこのように鹿の群が並んで座っていました。

砂と魚 \1,890,000
5匹の魚に隠れてもう一匹砂の中に魚がいます。これが私のいたずらっぽい絵の特徴です。

早春のうまや \2,520,000
これは世田谷の馬事公苑の馬屋を描いたもの。馬の目元に注目して下さい。緑色のアイシャドーを入れて可愛らしくしています。

三谷青子作品集
見るものの心を素直にとらえ絵の中に誘う、三谷青子の作品を100頁以上に渡って紹介。

現代日本の絵画_vol.2/年鑑
現代日本を代表する日本画家・洋画家を収載した年鑑:現代日本の絵画 Vol.2でも三谷青子の作品をご鑑賞頂けます。

上品で穏やかな語り口の三谷青子さんのお話から、画家の原点・基本姿勢を改めて気付かされました。洗練された色彩と大胆な構図の三谷作品。そしてそこから透明感あふれる美の全体像が浮かび上がってくるようです。三谷さんが「間もなく暖かい季節になるので、早く外へデッサンに出かけたいわ。」と語っておられたのが印象的でした。毎日絵のことを想い考えている三谷さんには、きっと題材の方から「わたしを描いて…」と何気なく近付いてくるのかもしれません。

ページTOP  インタビュー一覧

COPYRIGHTS 2007 ART BOX international INC. ALLRIGHTS RESERVED
WEBサイト内 全てのコンテンツに関する著作権は、ART BOX internationalまたはアーティストに帰属し、
画像・テキストの無断利用は固くお断り致します。