多くの公募展からART
BOX大賞展を選んだのはなぜですか?
東京ワンダーウォールやシェル美術大賞は、どちらかというとポップで抽象的な作品が多いイメージがあって、ARTBOX大賞展に出品されていた作品を見たら、もっとそれよりも具象的な作品が多かったので、これならいけるかもしれないと思って、出品しました。Q2.油彩を描くきっかけとなった事はありますか?
幼稚園くらいから絵は習ったりしていたので描いていたんですが、デザインが全然ダメで、すごく苦手だったんです。日本画も線という意味ではすごくデザインに近い部分があって。それで、油絵だったら!と思ったんです。美大に入ってから、本格的にやりはじめたんですが、そこからはもう楽しくて楽しくて、ああもう絶対に油絵だなって思いました。
受賞記念として個展を行う事についてはどう思われますか?
自分にとっての個展とは、すぐにできるものではない、ということ。グループ展とはやはり違いますね。責任を分担できない分、それなりにプレッシャーも感じますし。また、絵を描くということは、大学生の頃はそれこそ本当に自己満足の枠の中で描いていたんですが、大学院になってからは少し変わって、絵を描くというのは、自己満足も必要だけど、それを見て他者がどう感じるのか、そいういうのも必要なんだなって思いました。ですから個展は自分の世界を発表できる最上の場であると思います。
Q4.実際の個展を通して、感じた事を教えてください。
絵は売れれば売れるだけいいと思うんです。絵を売って生活するっていうことにすごく憧れを持っているからかもしれませんが。ただ、だからって作品を商品と思って描いているわけじゃないんです。やっぱり自分の好きなもの、描きたいものになりますし。展覧会をやって、それを買ってくれるお客さんがいるというのはすごく嬉しいです。買ってくれるということは、その人が自分の絵を好きっていうことだから。
Q5.作品や制作過程について教えて下さい。
町を歩いていると、不思議といろいろなものに目が行ってしまうんです。そういうときは決まってはしゃぎます。工場や廃墟などには、人の気配が潜んでいて、その中にどんなものがあるんだろうって思って。とにかく現場の空気がすごい。私はそれをちょっとでも拾って、持ち帰ろうとする。たとえば道端でかれている花とか草とか"。そういうものを絵にしていきます。実際、絵の中では、細かい部分の再現しようと試みるんです。大まかにデッサンするのではなく、ひとつひとつのものを細かくデッサンして、形にしてから全体を仕上げていくんです。全体だけ描いてしまうと、そこに自分の気持ちがこめられなくて。だからまず、似ている形を作って仕上げる。そして、その単体の形がそれぞれ出来上がってくると、そこでようやく「おじゃまします」って、その風景に入ることができるんです。私自身が景色にシンクロしていて、絵が仕上がるとスッとその中に入っていける。普遍的なモノ。「世界の車窓から」なんかもそうですよね。テクノロジーやメディアは発達しても、なくならないもの。その普遍というのが人間の匂いだと思うんです。どこにでもあるもの。それはこれからも私のモチーフになるのだと思います。
Q6.作品コンセプトについて教えて下さい。
人の気配ですね。日常のありふれてるものなんですけど、それだけを見ていてもすごく面白い要素があると思うんです。その中に人間がいたという存在というか証がそこにあるような気がして。通りに面したところってすごく綺麗で整えられているけど、その一歩裏の景色っていうのは全く整備されていなくて、私はそこに惹かれるんです。そこが面白くて仕方ない。人間のだらしなさとか、見えるところだけしっかりしなきゃいけないという部分が。あと、作品のモチーフになった退廃的なものやその源流は、小さい頃の原風景みたいなものだと思います。当時、団地に住んでいてそこの周りが工場だったんです。もしかしたら、そこの雰囲気や色を覚えていたのかもしれないです。
Q7.影響を受けたアーティストはいますか?
ベルナルド・ビュッフェの「アナベル」っていう作品を、中学のときに見てすごく感動したのを覚えています。小田急デパートでやっていたものだったんです。その絵はアナベルさんが所蔵しているということだったので、もう見る機会はないかもしれませんが、初めて感動を受けた作品でした。他にも、松本俊介やエゴン・シーレ、クリムトの作品に惹かれます。絶対に買えませんけど(笑)。あとは、映画だったら「バグダッド・カフェ」。
Q8.これからどのような形で活躍していきたいですか?
こういうコンクール形式のものにどんどんチャレンジしていきたいと思います。それにもっと大きい公募にもチャレンジしたいと思います。ただ、団体展はあまりいい話をきかないので、どうか分かりませんが。画家としてやっていきたいので。
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