画集を出版するにあたって
私の父は生前、魯迅美術大学中国画教授でした。私は幼いころから父の傍らで筆を友として遊んできました。このような芸術環境に恵まれる中、父親の道を追って美術大学に進学し、その後東京芸術大学の研究生として留学し、早くもこの道に入って30年になりました。このたび、私の芸術家としての節目の記念として、日本に来日してからこれまでに描いてきた作品を画集にして残すことといたしました。
自分の人生の半分を日本で過ごし、たくさん日本の友人ができました。日本の文化を知り、愛し、日本にとても親しみ
を感じています。すべての作品は私の人生経験そのものとも言える画集となっていると思います。
花の題材について
中国魯迅美術大学での花のデザインをしていた事が現在の花のデザインのバランス、空間の表現法法として身についていると思います。また20年前に来てはじめて友人と一緒に花見に行って、桜の花の美しさと可憐さに心を惹かれ、あれから私の絵の中で、「花」の題材は大きく比重を占めるようになりました。
岩彩画と工筆画で描くこと
同じ花を描く事にしてもどちらの方法で描くかはすでに描く前から決まっています。工筆画は、花びらの柔らかさ、細やかさを表現し、透明感を出す事ができます。対して岩彩画は、空間や色のバランスを描きながら、自分自身を表現するかのように、作品に息を吹き込み、深み、色のもつ美しさを表現しています。
今後の展望
20年前に日本に来て以来、大きな視野を持てるようになり日本の美しい自然や日本人の暖かい心と繊細な美意識を受け継いで、人生が豊かになり、作品も広く、深くなったように感じられます。現在、日本と中国で教鞭をとっており、それぞれの国での素晴らしい美術表現を多くの生徒に伝え、これからも素直な気持ちで観る人に癒しを与えられるような絵を描き続けたいと思っています。
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