70年間描き続けてきた絵画への思い
私は今年旧暦で米寿になる。
初めて油絵を描いたのは旧制高校1年、太平洋戦争が始まる年(1941)で19才だった。終戦前後は画材も
乏しかったが今年で何と70年近くも油絵を仕事の合間に続けていることになる。
この間風景、静物、人物何でも描いた。一時期は西洋人形だったり花だったり、また南ヨーロッパの風景
だったりしたが、最近は人間の集団に興味を持っている。
今回は35回目の個展であるが、色彩を重視した明るい画風は一貫している。また構図・構成にも自分なりの
試みを行っている。
制作について
人間の視覚を通して見られる「もの」の色は、実際の「もの」の固有色とは異なる。それは「もの」の色と光の色を人間の視覚は同時に認知するからである。
また、「もの」の質感を表現するために輪郭線を用いている。たとえば、ぱりっとした質感を出す時には輪郭線を引き、やわらかな雰囲気の時は用いない。
制作の題材について
題材に捕われることなく、関心をもったどんな「もの」でも描いている。特に、群像は若い時から興味を持ち、多くのデッサン、写真などの取材を行い描いている。また「ざくろ」のように自然のままの姿、廃船、ベルギーなどの古くからある街の風景など、時間の流れ、堆積を感じさせる題材に惹かれる。
70年間描き続るには
戦時中から描き始め、戦後は画材どころか食べるものもなくひどい状態であったが、志を高く持ち、常に題材に
なる「もの」を見る目を心掛け、そして仲間を持つ事で続けて行くことができた。
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