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2004年版画年(大学版画学会主宰)を記念し、ARTBOXではギャラリーでの版画展や NEW PRINTERS FILEを刊行しました。同誌の刊行を記念し、版画家:金井田英津子さんに新しい版画のカタチについてお話をうかがいました
版画作品ご紹介はブログもご覧下さい※連載終了

主な仕事
装幀::猫町/夢十夜/ 冥途(パロル舎)。人形の旅立ち(福音館書店)舞台ポスター:メリケン横浜・夜の宿/異人たちとの夏。2004年 造本装幀コンクール<審査員奨励賞>『人形の旅立ち』世界で最も美しい本展(ドイツ)。

ART BOX INJAPAN 現代日本の版画、他に掲載している版画家・金井田英津子さんは、ふとしたきっかけが転じて版画作品が広がった、現在もっとも多忙な版画家の一人である。本の「装幀挿画」という仕事や、これからの版画の可能性について伺ってみました。

Q1.版画作品が「装幀挿画」になったきっかけを教えて下さい
名古屋での個展(1995年「猫町紀行」)のときに、たまたま立ち寄った編集者との出会いがきっかけでした。それからパロル舎を紹介され、「本文用紙にオリジナル版画を直接刷り込むような本を作りたい」という私の提案を採用してもらい、最初の画本「猫町」になったわけです。

Q2.「版画」と「装幀挿画」を手掛ける時の違いを教えて下さい
版画はあくまで創りたいものを創りたい時に創ることにしています。それに比べ本の仕事は、発注者がいて、明確な目的があります。そこが違うとはいえ、私は元々ものを創る動機が外在するタイプなのでテキストからの刺激に反応して制作するのは楽しいです。Q3.版画でしか表現できないものとは何ですか?
オリジナルが、極小のメディアとして複数が同じ存在感で成立している「版」という表現が好きです。タブローのような何処までも個に収斂していくものより社会に向かって開いている感じに安心感を覚えます。
Q4.「版画」を続けている理由などあれば教えて下さい
装幀挿画、演劇宣伝美術、ルポライトなどいろいろ手掛けていますが、版画はいちばん自分の素の部分が出せるものだと思っています。グラフィックデザインをするときも自然に版画の手順に従っています。版画を続けていることに理由があるとすれば、自分の嗜好の確認のためということでしょうか。
Q5.版画家を目指す人達にアドバイスなどお願いします。

内なる志向の赴くままに表現の可能性を広げていけばよいと思います。そして、それを発表し続けることです。私はこれまで自分の作家としての先行きにはっきりしたビジョンや戦略を持たないで来ました。ひたすら創って、出来たら人に見せてを繰り返すばかりだったのです。そんな迂遠なやり方でも時には目が開かれる出会いやうれしいチャンスが訪れることがあり、何とか続けてこられました。「鑑賞者を得てはじめて作品は完成する」との言葉通りだと思います。

現代日本の版画 vol.7 /年鑑
木版・銅版画をはじめとする版画の多種多様な技法を凝らした作品を閲覧できる作品集です。単なるレゾネ集ではなく、美術的・資料的価値の大変高い美術作品集として多くの公立図書館、大学図書館、美術館などに収蔵されております。

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