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第14回マスターズ大賞展大賞受賞を記念して、ART BOXギャラリーにて個展を開催した、小林功於さんをお迎えしました。マスターズ大賞展応募のきっかけや作品制作について、貴重なお話を皆様にお届けいたします。

プロフィール
20代より独学で絵画制作を始める。1983年 行動展/会友賞。1997年 山口県芸術文化振興/奨励賞。1998年 第66回日本版画協会展/奨励賞。 第8回マスターズ大賞展/優秀賞等。個国内外で展多数。収蔵:ジュール市立美術館(ハンガリー)フローリアン美術館(ルーマニア)
2006.11/27よりART BOX GALLERYにて個展

沢山の公募展の中からマスターズ大賞展を選んだのは何故ですか?
20代前半から独学で絵画制作を始め、ずっとフリーで創作活動を続けてきました。また地方在住ということもあり、東京で作品を観てもらう機会を得ることが、普段はなかなか難しいのです。そんな中、ART BOXの公募展には以前も出品したことがありましたし、大賞受賞者は銀座で個展ができるということで、とても魅力的でした。個展を開くことについてはどうお考えですか?自分の作品を広い空間で並べてみると、今まで見えなかったことも見えたり、いろいろ反省も出来ますし、とにかく自分の制作にとって非常に良いことだと思います。CG(デジタルアート)を始めたきっかけは何ですか?
当時、地元の市役所で広報の仕事などをしていました。業務でMacを導入することになり、最初は仕事だからと思い、一から勉強していましたが、自分で撮った写真をPhotoshopで加工したりする作業など、だんだんとそのおもしろさにハマってしまい、途中からほとんど仕事を忘れて没頭していました。それが現在の制作につながっているかと思うと、「人生何があるかわからないなぁ」と思いますね。作品のテーマについて教えてください。
例えば同じような風景を描き続けるとか、何か特別なテーマやパターンにこだわって制作するということはありません。ただ、もし言葉で説明するなら、人間の喜びや悲しみ、世の中の不可思議さを、ほんの少しでも視覚的、象徴的に表現したいと思っています。今回の個展出品作品の中に多く登場する椅子は、私たちが日々生きる日常を象徴するような意味もあり、椅子に座る人間の過去や未来、喜びや悲しみを表現しています。幻想的な空間に、突然日常的なものが出現した感じ、そういうイメージのなかで、夢と現実、理想と現実のはざまでゆらゆら揺れ動くような人間の姿のようなものを描きたいのかもしれません。
今後どのような活動展開をお考えですか?
デザイナーとしての仕事を続けながら、制作も今までどおり頑張っていきたいです。今年は海外の公募展への参加が多かったので、来年はもう少しのんびりしつつ、地元で個展をやる予定です。

マスターズ大賞展について
ART BOXマスターズ大賞展では、意欲的なシニア世代(45歳以上)を中心に、今まさに成熟しつつある作家を発掘し、サポートしてゆくことを主旨としております。今回の個展は、第14回の同展にて準大賞に輝いた館野邦栄さんの受賞を記念した企画展です。
次回 は'07.4.15応募締切です 結果発表

受賞作品の「静寂と神秘と夢幻」始めとした合計21点を出品頂いた今回の展覧会。その中でも小林さんの印象に残るデジタルプリント作品3点のエピソードを伺いました。作品一覧
静寂と神秘と夢幻 \141,750
捉えどころのない幻想的な空間に浮遊しているかに見える馬の像は、実はブタペストの英雄広場にそびえ立つ彫刻。赤い椅子は日々生きている日常を象徴している。夢と現実のはざま。

白夜印象 \117,600
暗い夜の森と対照的に女性の白い肌が神秘的に映る。光と影にこだわることによって独特の遠近感。右下に浮かぶリンゴは、アダムとイブからの連想で、人間の根源的な愛を象徴するもの。

夢幻回廊 \81,900
地肌は土間のコンクリートの模様を使い、「マチエール」を意識した。人間の喜びと悲しみが出口のない回廊で回り続けるイメージ。左の壁から入り、右の壁から出て、またぐるりと廻っては左の壁から入る。

仕事で習得した技術がご自分の創作活動につながるという、理想的なキャリアをお持ちの小林さん。お話しを伺っている間も、とても誠実で実直なお人柄が感じられました。きっと日々の生活や仕事を無駄にせず、地道な努力を重ねて来られた結果、現在のご活躍があるのでしょう。幻想的な空間のなかに存在する日常、現実と非現実とのはざまで、謎めいた白い肌の美女が私たちを夢幻の世界へと誘ってくれるかのようです。今後のさらなるご活躍を期待しています。

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