「アーティストが表現する山」の出版を記念して、美術団体・一線美術協会を中心に活動するベテラン画家・大橋世紀雄の展覧会を開催しております。50年近くの画歴を誇る大橋先生から興味深いお話をお伺いしました。
プロフィール 1941年 神奈川県生まれ吉崎道治氏に師事1959年 一線美術会出品1960年 一線美術会会員推挙1965年 一線美術会委員推挙一線美術会に於いて文部大臣賞他8回受賞 横浜三越、銀座地球堂ギャラリー他12回個展開催一線美術会理事審査員 2007年9月2日より個展
本展の見どころ 「アーティストが表現する山」の表題ですので、私の好きな長野・安曇野を中心に、 山を主題とする作品を主に出品しております。 皆さんがどこか懐かしく感じられる 風景に出会えるの ではないかと思っております。アルプス風景の魅力とは? 海や山、雪景色など、いつも現場に出かけて写生をして おりますが、特に5月頃の信州は残雪を頂いたアルプス、麓に 広がる新緑の里、一斉に花を咲かせる果木など、澄んだ 空気を透して見える風景に感動し、いつも心惹かれます。 アルプス以外の風景画を 描くこともありますが、やはり アルプスの風景を描くのがとても好きですね。 と言うのは、 例えば、北海道や東北の山々は連なっているために、ひとつ ひとつの山の存在がわかりづらく、対象として非常に捉え にくいですが、その点アルプスの山々は、個々に存在しているので、絵が作りやすいのです。はじまりは空の色から 筆を取り、一番最初にとりかかるのは空を塗ることです。 これが私にとって非常に 大事なポイントになります。空の色 さえ決まってしまえば、あとはとてもスムーズに 筆が進みます。 空の色というのは他の全てのものを左右してしまいます。 山の色、 草木の色、湖の色など、空のちょっとした光加減などで変化してしまいますからね。 ですから、空の色をなかなか出せない時は、最後まで描くのに 苦労してしまいます。制作過程での意外な苦労 作品を制作するときは、少なからずの苦労はありますが、一番 厄介なのは風が吹く最中の制作なんですね。私は現場に 出向いて制作をすることがほとんどなので、雨が降っていればパラソルの下で、雪が降っていても2〜3時間は平気で描き ます。ただ、風の日だけは本当にどうしようもないので、車の 中にこもって描くんですよ。今後の活動展開現在、一線美術会で作家としての作品発表の場があります。 これを中心にこれからも真摯に対象と向き合いながら、 一作一作、努力、研磨を重ね、次の個展に向けて頑張って いきたいと思っております。
白馬好日 木陰に座って写生をしておりますが、すぐ 後ろに小さな農小屋があります。白馬に行くと、 必ずこの一枚は描くので、小屋のおじいさんと おばあさんとは顔見知りです。農作業の合間のお茶の時間にはいつも一緒にお茶をごちそうに なります。
桃の頃 鳳凰岳 甲府、新府城があった丘の上です。残雪の 鳳凰岳をバックに、桃の花が満開で、写 真を撮る 方もたくさん来ています。私が描いてますと、 絵を描くのだから構図が良いと思ったので しょうか、私の後ろから一枚パチリ。
安曇野 池田美術館のすぐ近くです。いつもこの時期は 沢山の方が訪れ、写生を楽しんでいます。 私も早速一枚、偽アカシアの白い花を入れて 有明山とアルプスを描きました。
作品一覧
アーティストが表現する山/年鑑 アーティストの心に刻まれた山のイメージはさまざま、独自のタッチで詩情あふれる山々が描かれています。著名な作家の作品から、現在活躍中の新進作家の前衛作品まで、多様な技法で表現された作品と作家を幅広くご紹介、世界に発信する一冊になっております。
とても話し上手な大橋先生。制作秘話を色々お聞きする ことができて大変面 白かったです。 大自然と向き合い、絵を描く先生の制作の姿勢がとても 素敵でした。
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