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今回は、ART BOXから作品集:自然の詩を描く を出版した大久保澄子さんをお迎えしてお話を伺いました。現代的な版画技法を展開しながら伝統的な美意識と鮮やかな色調で自然を賛美する、叙情的な作品をつくり続けていらっしゃる大久保さんのご経験や作品についてお話をお届けします。

プロフィール
東京都生まれ。女子美術大学デザイン科卒業。1981年英国在住(〜86)Sir John Cass Collegeに学ぶ。Terry Greaves, Norman Ackroyd, Chris Orr に師事。1986年Central Saint Martins College of Art &Design 大学院修了。個展多数。所属:春陽会 日本美術家連盟 英国版画家協議会 JDA
2006.11/20より作品集出版を記念しART BOX GALLERYにて個展

デザイナー時代、たまたま友人に誘われて出会った銅版画
大学を卒業して広告代理店でデザイナーをしていたころ、画家の友人に誘われて新日本造形で銅版画の講習会に参加しました。行く前までは版画には興味がなかったのですが、そこで作品を一枚刷ったことで意外にも「これがやりたい!」と感じたのです。銅という金属を媒体として、鉛筆や絵の具で直接描いたのではなく、紙に転写する方法によって生まれる質感や感触にも面白さを感じました。版を通して微妙に変化して出来る間接的なタッチやディテールが思いがけなく新鮮に映ったのでしょう。イギリスで学んだ技法、師との出会い版画を志した私は、大学卒業後しばらくしてから狭き門と言われるロンドンのセントラルセントマーティンズ大学院に留学し、美術と版画を学ぶことになりました。現地では、大英帝国時代に培った美術の宝庫と文化遺産、王朝制の伝統と伝統的な美意識を目の当たりにしながら充実した日々を過ごせたと思います。師となったノーマン・アクロイドは、ビエンナーレ招待作家で、私が渡英前、日本の画廊で彼の作品を見かけたことがありました。日本の墨絵を思わせる画面の中にヨーロッパの香りを感じさせ、白黒のコントラストが美しい絵で印象に残っていました。ちようどその作家が大学院で教鞭をとっていて、思いがけず彼に師事することなったのも不思議な偶然性を感じます。自分の感性に問いかけ、自問自答しながらの創作
比較的放任主義だった大学では、広いスペースが与えられ、教室にはアンティークのプレス機が何台も置かれ、学生や銅板、リトグラフ、シルクスクリーンの設備を自由に使うことができました。また、彫金、木工制作の材料にも恵まれていました。先生もスタッフも教室内では自分の仕事に集中しているので、私たちはそれを見ながら、何かを学び取り、自分で創作していくことが基本でした。技術的なことは指導してくれますが、原則的には自分自身でどんどん作品創りをして決断していくことが必要課題であったと思います。「実り」という作品テーマ
自然を題材に「実り」シリーズで作品を制作してます。植物の実り、人生の実り、願望の実り...など掛け合わせた中に色々なものを織り込んでいます。自然の現象である風、水、植物や人物等も重ね合わせて表現していて、全ての絵の中にメッセージが込められています。作品を観る人にとって様々な感じ方をしていただければ嬉しいです。
作品集出版ついて
以前から個展をやるたびに「画集」はないかとお客さんから求められることが多く、個人作品集の必要性を感じていました。そんな折りにART BOXインターナショナルからお話をいただき今回の作品集出版に至りました。作品写真やプロフィール・評論・実績などがまとまった一冊があれば、美術家としての手軽な自己紹介になりますし、要請があれば海外へもすぐ送ることができます。また、新たな作品発表の可能性が広がることもあるでしょう。今回、作品集出版と記念展がほぼ同時進行で準備段階で大変なこともありましたがハンディーなタイプの画集としてまとまったと思います。お客様の評判も良く、よかったと思っています。

大久保澄子作品集「自然の詩を描く」出版を記念して展覧会を開催いたしました。掲載作品の原画を全30点展示・販売いたします。作品集とあわせてご高覧下さい。 作品一覧

実る頃 \71,400
エッチング・コラグラフ・木版を組み合わせた作品。今回の展覧会に向けて制作した混合技法によるもの。画面内には二人の人物と思わせるフォルムがあり、植物の実りと掛け合わせて、「恋の実り」を感じさせるようなメッセージが込められています。

夕映え \68,250
アクアチント・コラグラフ・エッチングによる版画作品。燃えるような夕日が手前の草木と一体になった美しい画面構成で白い葉っぱが映える印象的な一枚です。

秋の日 \98,070
パステルによるドローイング作品。淡く抑え目な色使いで、よく目をこらすと鳥が飛んでいます。表情豊かな秋の季節を表現した叙情的な作品です。

大久保澄子 自然の詩を描く/作品集
銅版画やコラグラフ・ドローイング・オブジェなど、鮮やかな色調で巡りゆく自然への賛美を表現した全62点の作品が収載されています。

アーティストが表現する
 静物・生物
/年鑑
油彩・水彩・日本画・版画・彫刻…。さまざまな技法で描き出される卓上のドラマ。忘れられないイメージ。息づく生命力、存在感。「静物・生物」をテーマに展開する、現在活躍中のアーティストと作品を紹介。 この他現代日本の版画シリーズにも作品が掲載されています。

インタビュー中には、イギリス留学時代の貴重なご体験をお聞きすることができました。大学院で出会った素晴らしい先生方やクラスメートとの温かい交流は、大久保澄子さんの創作の原点になっているように思いました。版画界の今を生きるエネルギッシュな大久保さんの今後の展開に期待が寄せられます。大久保さん、取材へのご協力ありがとうございました。

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