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第14回マスターズ大賞展大賞準受賞を記念して、ART BOXギャラリーにて個展を開催した、館野邦栄さんをお迎えしました。マスターズ大賞展応募のきっかけや作品制作について、貴重なお話を皆様にお届けいたします。

プロフィール
1975年明治大学大学院英米文学科修了、美術研究所等で油絵を学び始める。1997年近代美術協会会友優賞・会員推挙。1998年日選展/評論家賞。 2005年日選展/奨励賞。近代美術協会展/企業賞、国際美術大賞展/企業賞。日仏中現代美術世界展2点入選。
2006.12.4よりART BOX GALLERYにて個展

沢山の公募展の中からマスターズ大賞展を選んだのは何故ですか?

実は以前も2回程ART BOXのマスターズ大賞展に出品したことがあります。そのときも入選して作品を展示してもらったりはしていました。その後しばらく出さない時期を経て、また今回案内状をいただいたこともあり、久しぶりに出してみようかなと思った次第です。
個展を開くことについてはどうお考えですか?今まで個展を開催したことは4回程あるのですが、全て準備から自分で担当し、お客さんも友人ばかりというごく内輪的な感じでした。こういった企画展をやってもらうのは実は初めてで、正直少し戸惑っています。自分の作品が世間の厳しい目で評価されるかと思うと、恐くもあり、また楽しみでもあります。絵画制作を始めたきっかけは何ですか?
大学院を卒業した後、高校の英語教師として働き始めました。そこで部活動の顧問を担当するわけですが、既に絵を描くことに大変興味がありましたので、英語が専門ですがぜひ美術部顧問に!とお願いし、担当させてもらい、生徒と一緒に絵を描き始めたという感じです。最初の頃、割れたビール瓶の下部分の破片を写生して、自分では「(茶色いから)饅頭にしか見えないなぁ」と思っていたら、美術の先生に「なかなかいいですね」と誉められ、なんだか嬉しくてヤル気になったことをよく覚えています。作品のテーマについて教えてください。
もともと暗い感じの絵が好きでした。例えば”荒れ地を彷徨う野良犬の群れ”とか、そういったイメージとか。でも5年前の夏のギリシャ旅行をきっかけに、自分の作風がガラリと変わりました。向こうでは、基本的に夏はほとんど雨が降らず、来る日も来る日も朝起きると文句の付けようのない快晴なのです。何と言うかその”明るさ”と、エーゲ海の煌めき、カラっとした底抜けに青い空、などがあまりにも印象的で、それ以来、その明るい風景を描き続けています。それからバレエは本当に好きで舞台もよく観るのですが、ステージ上であれほど華奢に見えるバレリーナの肉体は、実は全身たくましく鍛え上げられた筋肉で覆われていて、そこに女性のたくましさを感じ、描く対象として非常に魅力的ですね。今後活動予定等について教えてください。
今後はやはりギリシャの島々、エーゲ海の輝き、魅惑的なバレエダンサーたちを飽くことなく描き続けたいです。それから昔、土偶や埴輪、土器などを描いていた時期があるのですが、最近、もう一度描いてみたらとある人に勧められていて、再度挑戦したいと思っているところです。

マスターズ大賞展について
ART BOXマスターズ大賞展では、意欲的なシニア世代(45歳以上)を中心に、今まさに成熟しつつある作家を発掘し、サポートしてゆくことを主旨としております。今回の個展は、第14回の同展にて準大賞に輝いた館野邦栄さんの受賞を記念した企画展です。
次回 は'07.4.15応募締切です 結果発表

受賞作品の「リラの精」を始めとした合計29点を出品頂いた今回の展覧会。その中でも館野さんの印象に残る作品3点のエピソードを伺いました。作品一覧
イドラ島1 \81,900
2006年。1ヶ月に渡るギリシャ・スケッチ旅行での1枚。たった1時間で仕上げた勢いのある作品。あそこも、ここも、魅力的な場所だらけ。すべて描きたいと、はやる気持ちがペンを急がせる。

くろねこ \315,000
白い建物だけで出来た街。空は底抜けに明るく、ブーゲンビリアは咲き乱れ、2匹の黒猫がのんびりと石畳の上に現れた。 ギリシャ。真昼の光景。エーゲ海の輝きは今日も旅人を魅了する。

ダンサー来日 \472,500
世界的に有名なバレエダンサーのシルヴィ・ギエム来日公演でのパフォーマンス。真っ暗闇の舞台を両手に持った松明の火が赤く妖しく照らし出す。天才ギエムの手の動きはまさに千手観音のようだった。

長く勤められた教員の仕事を最近退職され、第2の人生が始まったばかりという館野さん。今回の個展は、今後どのように制作中心の生活にシフトしていくかを考えるうえでも、ベストなタイミングだったとのことです。好きなバレエのこと、ギリシャやエーゲ海の島々でのスケッチ旅行での思い出、それぞれ大変興味深くお聞かせいただきましたが、特に印象に残ったのは館野さん独特の繊細な美意識でした。本当に好きなものを描き続けていることが作品にもよく表われているように思います。館野さんの今後のさらなるご活躍を期待しています。

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