- 会期： 2012年3月17日（土）～3月22日（木） 11:00~19:00（最終日17:00まで）
- 会場： 世界堂新宿本店6階展示場
*活況の最中、無事終了いたしました。ご来場のみなさま大変ありがとうございました！
ＡＲＴＢＯＸ大賞展２０１１受賞者発表
■グランプリ 第２１回ＡＲＴＢＯＸ大賞展大賞
＊西川美穂（１９８９年生まれ 多摩美術大学大学院絵画専攻 在学）
受賞作品
*左：作品タイトル air (30号 縦91.0cm x 横72.7cm）、右：Dog（5号 縦35.0cm x 横27.0cm）
画像・技法：油彩
受賞者コメント
この度は大賞という素晴らしい賞を頂きありがとうございます。賞を頂くことは制作を続けていく上でとても励みになり、とても幸せなことだと感じております。
また多くの方に作品を見て頂けること大変嬉しく思っております。これからも受賞を励みに、納得のいく作品を制作していきたいと思っております。
西川美穂氏へのコメント
作者が自己を見つめ、日常生活の中で感じていることを描いた「air」は、脳裏に焼きつく絵画である。20代の作者が現代の空気をこのように感じていることに衝撃を受けた。
私は作者が母親の胎盤にいる自身を、脳裡の裏側に投影し、自身の海馬で記憶し表現した、幼児体験の自画像と感じた。黄色い犬の顔を描いた「Dog」はキモかわいい。嗅覚の鋭い鼻、サイバー的な映像レンズのような眼に特徴がある。この犬はリアルな世界をどのように映し出しているのだろうか。震災後、初のARTBOX大賞展で新しい時代の感性が生まれたことを喜びたい。
■準グランプリ 第２１回ＡＲＴＢＯＸ大賞展準大賞
＊佐藤正徳（１９７１年生まれ 東京芸術大学美術学部 卒業）
受賞作品
*左：作品タイトル 角の人 (F30号 縦91.0cm x 横72.7cm）、中央：龍の人（F20号 縦72.7cm x 横60.6cm）、右：木の人（F20号 縦72.7cm x 横60.6cm）
画像・技法：アクリル
受賞者コメント
整然と無駄を排除した洗練されたモノより、不均衡でいびつで雑然としたモノに魅力を感じます。他の人と違う表現とかスタイルとか、いわゆる独創性について考えるよりはとにかく楽しいと感じるものを、気持が高揚するものを、そんな自分自身の嗜好を今の描いている絵の中に表現出来たらと思っています。
佐藤正徳氏へのコメント
不安定な時代の中で、苛立つような輪郭線と灰褐色の色彩を特色とする独自の様式を築き、野蛮とユーモアの共存する生命体を描いた「角の人」「龍の人」「木の人」は若々しさと可能性を感じさせる現代絵画である。益々の活躍を期待する。
＊松丸 翔（１９８５年生まれ 多摩美術大学日本画科 卒業）
受賞作品
*左：作品タイトル effector (B1判 縦72.8cm x 横103cm）、中央：his eyes（B1判 縦103cm x 横72.8cm）、右：ペンキ日和（F30 縦91cm x 横72.7cm）
画像・技法：画用紙、鉛筆、木炭
受賞者コメント
この度は、すばらしい賞と皆さんに作品を見て頂く機会を与えて頂き、大変うれしく思っております。日頃から、支えてくれいる方々にもとても感謝をしています。これからも、自分の世界観を探求し、磨いていきたいです。ありがとうございました。
松丸翔氏へのコメント
作者のポートフォリオの中に、連なった亀が歩んでいる作品があり気になった。その亀の甲羅は年輪を感じさせ、甲羅の表面は、六角形が自然の摂理に沿って埋め尽くしている。今回受賞の顔が重層する作品群と、亀の甲羅の持つ意味やイメージが一瞬で重なった。作者は亀の甲羅のような視覚言語を、様々なモチーフを使い構成し、ゆっくり時間をかけ成熟させていくのだろう。受賞おめでとう。
■審査員
Ｇ.Ｓ.カビール（現代美術画家 バングラディッシュ）
有地好登 （版画家 日本大学芸術学部教授）
藤掛正邦 （ワイヤーアート 文教大学教授）
きづかあきよし（ＡＲＴＢＯＸ大賞展 主宰）
アートボックス大賞展 コメント ２０１１１１２１
これからの日本の現代アートを背負って行く若きアーティストを発掘するこの大賞展も数年前から多数見られるマンガ・アニメ的な時流に乗った又は類似的な作品が多かったのは仕方ないであろう。その中でも大賞を受賞された西川美穂「air」油彩は、鮮やかな赤色の大地に裸の子供が立ち観賞者に優しく何かを問いかけている。普段接するあどけない子供の雰囲気ではなく、顔のみ意図的に手数が入れられて大人びた表情を匂わせ、心に潜む自我のアンバランスさを現代風に小気味良く表出している。準大賞の佐藤正徳「角の人」アクリルは、自己の空想世界で造り出した生物達が一戦を交えた後の情景を刃物で切り裂いたような鋭い線と少ない色彩で現し、荒廃した人間の行き着く先の儚さとバーチャルな世界が持つ単純さが面白い。そして過去又は現在見た人や物を構成した松丸翔「effector」鉛筆・木炭は、園人物の足跡をたどり、そこから創作したイメージを多面鏡的に又はポエチックに自己表現してソフトな癒しを奏でている。受賞者3人は、それぞれ異なった視点で特色ある持ち味を内包しているので、その個性が将来大輪に開花することを期待したい。
日本大学芸術学部教授 有地好登
ＡＲＴＢＯＸ大賞は新人の発掘と意欲的なアーティストのサポートを目的とする公募展です。
多数のご応募いただきありがとうございました。厳正な審査の結果、グランプリ１名、準グランプリ２名が選出されました。
震災によりＡＲＴＢＯＸが新宿に移転し、ギャラリーをクローズしましたので展示会場の決定まで時間がかかり、発表が遅れましたことをお詫び申し上げます。
２０１２年の３月、新宿世界堂本店６階展示場にて受賞記念展も無事終了いたしました。
今後は自社ギャラリーではなく受賞者のグループ展となりますこと、申し添えておきます。
これもさまざまな皆さまのご協力、サポートがあり実現しました。ここにご報告いたします。ありがとうございました。
ＡＲＴＢＯＸ大賞展事務局
