隔たりを感じた学生時代
子供の頃から生き物が大好きで、よく落書きをしていました。その延長で今があるのかなと思います。今は鳥を絵にすることが多いですが、高校生の頃は犬や猫などの動物もよく描いていましたね。高校を卒業して本当は動物保全に関わる学校に進みたかったんですが、親の希望もあって付属の美術系の短大にしぶしぶ進学することになりました。ですが、美術大学は、私に動物を描くことを閉ざすような場所でした。この時に絵を描くことが嫌いになってしまい、今まで描いた絵を全て捨ててしまいました。今思えば、残しておけばよかったなと思うこともありますが、あの頃抱いた絵を描くことへの嫌悪感はそれほど大きかったんですね。自然を見つめ直すために
2001年の夏から二年間北海道の厚岸で生活していました。自然を相手に絵を描き続けている自分は、都会の中で埋もれて、上っ面の自然の姿しか見えていないと思い、改めて自然を見つめ直してみたかったんです。見知らぬ土地で1人生活するにあたって、地元の方をはじめ本当に色々な方にお世話になり、人々の温かさにも触れることができ、また四季のはっきりしている北海道という土地で自然の雄大さを肌で感じることができました。自然に対する尊敬の気持が自分に備わり、とても貴重な経験をした二年間だったと思います。ワイルドライフアートとの出会い
92年東京赤坂のカナダ大使館で、ワイルドライフアートの展覧会が開催されていて、そこで見た作品の素晴しさに感銘を受けました。野生生物の姿と、その生物たちが棲息する自然の姿が一枚の絵に集約されていて、この世界観がまさに自分が求めているものでした。
その後、ロバート・ベイトマンという有名な野生生物画家が日本に来日することを聞きました。ワークショップを開催するとのことで、申し込みをしたら、既に募集が締切られてしまっていたんですね。でも見学だけでもと思い、めげずにスケッチブックを持って毎日通いました。そうしたら、さすがにロバート氏は私の顔を覚えてくださり、お声をかけてくださったんです。それから彼が住むカナダのご自宅にまで遊びに行かせていただき、そこでアメリカのカリフォルニア住むバードウォッチャ−の女性を紹介していただきました。そこで一ヶ月程居候することになり、本場のバードウォッチャ−の姿を見させていただきましたね。ここでの生活は作品づくりにおいても自分にとってかなり有意義なものとなりました。
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